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創作BL小説ブログ
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 2週間ぶりに自転車を走らせる。
 頬をなぶる北風が痛い。
 いつのまにか、秋は終わっていた。
 もうずいぶん長い間、真紘に会っていない気がする。なんとなく気後れして、彼には連絡を入れていない。
 真紘は部屋にいるだろうか。
 次第に心が急いてきて、鷹也は闇雲にペダルを踏んだ。
 アパートに着くと、鷹也は2段飛ばしに階段を駆け上がり、真紘の部屋のドアを叩いた。
「真紘、俺だよ。開けてくれ」
 間もなく内側から鍵をまわす音がした。
 待ちきれずに、鷹也は自分でドアを開けた。
「真紘っ」
「鷹也……」
 驚いたような、怯えたような瞳が鷹也を見つめる。その瞳に鷹也の胸は痛んだ。
「遅くなってごめん」
「もう……だめかと思った」
 真紘の唇が震えている。
「おれがあんなことを頼んだから、鷹也は呆れて、もうおれから離れていったんだと思った」
「違う。そんなことはない。真紘に会いにこれなかったのは、たんに俺のほうの都合で、真紘のせいじゃないんだ」
「よかった……」
 伏せた睫が震えている。瞼の白さが痛々しい。
 鷹也は思わず伸ばしかけた手を下ろした。真紘を抱きしめたい衝動を懸命に抑える。
「あがっていい?」
「もちろん。外、寒かったでしょ? すぐにコーヒー淹れるから」
 台所に向かおうとする真紘を、鷹也は呼び止めた。
「真紘、その前に約束の……」
 鷹也はブルゾンのポケットから、半透明のカメラのフィルムケースを取り出した。
 真紘が無言でそれを見つめる。
 吸いつくような視線を感じながら、鷹也はフィルムケースを真紘の目の高さまで上げた。
「兄貴の灰だよ」
「本当に持ってきてくれたの?」
「約束だからね」
 花の蕾が綻ぶように、真紘は相好を崩した。
「ありがとう」
 その表情の思いがけない艶っぽさに、鷹也は息を呑んだ。そして、謙司が真紘にそんな顔をさせているのだと思うと、鷹也の身体は嫉妬に震えた。
 やさしくしたいのに、憎い。
 おずおずとフィルムケースに伸びてくる真紘の手をかわし、鷹也はさらに高くフィルムケースを掲げた。
 怪訝そうに鷹也を見上げる真紘の薄茶色の瞳が、鷹也の嗜虐心を刺激する。
「その前に、訊きたいことがあるんだ」
「なに?」
 真紘が微笑んだ。
 鷹也は痛みを堪えるように目を眇めた。
「兄貴は真紘のなんなの?」
「え?」
「本当にただの幼なじみだったの?」
 真紘が眉を顰めた。あきらかに警戒しているのがわかる。
「どういう意味?」
「兄貴と寝てたのかって訊いてるんだよ」
 次の瞬間、鷹也の頬が鳴った。
 真紘は怒りに頬を紅潮させている。
 そんな顔もきれいだなと、妙に冴えた頭で鷹也は思った。
「そんなわけないだろっ。おれはともかく、謙司さんに失礼だ」
 謙司のほうでは、真紘に幼なじみ以上の感情を抱いてなかったということだろうか。
「じゃあ、質問を変えるよ。真紘は兄貴に抱かれたかったの?」
「やめろっ」
 それは悲鳴に近かった。
「どうしてそんなことを言うんだっ」
 怒りと悲しみがない交ぜになった瞳が、鷹也を睨みつける。
「だって形見分けならともかく、いくら一緒に暮らしてたからって、普通は遺骨までほしがらないだろ? もしかしたらそういう関係だったのかなって疑いたくもなるよ」
「鷹也には……関係ない」
 そう言って真紘は顔を背けた。
「そう……。だったら」
 鷹也は台所に歩み寄るとフィルムケースの蓋を開け、流しの上で容器を傾けた。
「なにするんだっ」
 真紘が慌てて鷹也の腕を掴んだ。
「放せよ」
「いやだっ」
 揉み合ううちに、一瞬の隙を衝いた真紘が、鷹也の手からフィルムケースを奪い取った。それを間髪入れずに自分の口へ運ぶ。
 鷹也が止めようとしたときには遅かった。真紘は天井を仰ぎ、謙司の灰を一気に喉に流し込んでいた。
「ばかっ、なにやってんだっ」
 咳き込む真紘の手からフィルムケースを取り上げ、床に投げ捨てた。
 真紘は眦に涙を滲ませながら、鷹也に挑むように笑った。
 鷹也の中でなにかが弾けた。
 自分のものにならないのなら、いっそめちゃくちゃに壊してやりたい。
 衝動的に真紘の腕を掴んで乱暴に引き寄せた。もう一方の腕で真紘の腰を抱き込み、自由を奪う。呆気にとられていた真紘が状況を呑み込むより早く、鷹也は目の前の唇に噛みついた。歯列を割って強引に舌を差し入れ、慄く舌を絡めとる。粉っぽくざらついた口内に、かすかに血の味が混じる。
抵抗しようと闇雲に暴れ出した真紘の足元を掬って、床に引き倒した。
「うっ……」
 背中を打ちつけて息を詰まらせる真紘にかまわず馬乗りになると、鷹也は真紘の服に手をかけた。
「な、なにを……っ」
 怯える真紘の瞳が、鷹也の劣情に拍車をかける。必死に身体を捩り、四つん這いになって奥の部屋へ逃げようとする真紘の太腿に膝で乗り上げる。片手で真紘の肩を押さえつけ、もう片方の手でシャツをたくし上げた。
「やめろっ」
 次の瞬間、鷹也は動きを止めた。
「これ……なに?」





第11話につづく


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【8/12】
誠に勝手ながら当ブログを
活動休止とさせていただきます。

【5/16】
すいません。
現在、潜伏中です。

【5/7】
突然ですが模様替えをしました。
慣れないうちはなにかとご不便を
おかけするかもしれませんが、
何卒ご容赦くださいませ。

【4/23】
「お久しぶりです」の方も
「はじめまして」の方も
こんな隅っこブログにお越しいただき
どうもありがとうございます。
ご挨拶が遅れてすみません…。
ぼちぼち更新してまいりますので
これからもよろしくお願いいたします。


【1/3】
あけましておめでとうございます。
昨年中はこんなぐだぐだなサイトを
見捨てずに応援してくださり
本当にありがとうございました。
今年もお付き合いいただけると
うれしいです♪
どうぞよろしくお願いいたします。


【11/3】
長らく放置してすいません><
こんな状況でも訪問してくださる方
本当にどうもありがとうございます!
ひとことでも感想などいただけると
朔田が泣いてよろこびます~。


【6/14】
ご無沙汰してます。本文の文字を
ちょっぴり大きくしてみました。
少しは読みやすくなったかな?


【4/21】
現在、ちょーゆるゆる更新中です。
忘れた頃になにかがアップされてる
…かも……?


【1/19】
「浅葱色の少年」は完結しました。
応援してくださったみなさま、
どうもありがとうございました!


【1/15】
新作「浅葱色の少年」を更新中です。
かすかにBLが薫るお伽噺みたいな?
楽しんでいただければ幸いです♪


【1/15】
趣味でやっていた〈ひとり光画部〉は
閉鎖しました。ご愛顧ありがとうござ
いました。


【1/15】
「石榴館」はすてき絵師・東風さんと
一緒に遊んでる吸血鬼シリーズです。
          詳しくはこちら→
石榴館 作品紹介

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管理人:朔田圭子(さくた けいこ)

さくたはめがねがだいすきだよ。それからかえるとかすなふきんとかみどりいろのものがすきみたい。 めーるふぉーむだよ♪ さくたがなんかゆってるww
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