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 仕事を終えて自宅マンションに帰り着くと、玄関脇の小窓から灯りが洩れていた。
 鍵を開けて中へ入る。案の定、そこには見慣れた靴があった。
 僕は皮靴を脱いで奥のリビングへ向かう。するとソファに座ってテレビを観ていた制服姿の史弥が僕を振り返った。
「おかえりなさい」
 人懐っこい笑顔で僕を見上げる史弥の唇に、チュッと音を立ててキスを落とした。
 それから、ずれた眼鏡のブリッジを中指で押し上げながら訊ねる。
「汗の匂いがする。部活の帰り?」
「うん」
「今日はシャワーを浴びてこなかったの? クラブ棟にはシャワー室もあるんでしょ?」
「あ……うん、今はまだ……」
 そう言って、史弥は制服の上から手首を押さえた。
「ああ、縛ったあとが残ってるもんね。そんなのほかの子たちにばれたら大騒ぎだ」
 史弥は長い手足を縮めて俯いた。ほんのり赤く染まっている首筋に目が吸い寄せられる。
「練習中はどうしてるの? それ、見えない?」
「俺はゴールキーパーだから長袖だし……グローブしてるし……」
 一度だけ、史弥が率いるサッカー部の練習試合を覗きに行ったことがあった。史弥はキャプテンらしくゴール前からピッチの選手たちに指示を飛ばしていた。敵チームの猛攻撃から身体を張ってゴールを守り、一歩も引かなかった。そんな勇姿が嘘のように、僕の前の史弥はかわいい。
「ふふ、まさかキャプテンが縛られて悦ぶ男だとは誰も思わないだろうね」
 史弥は勢いよく顔を上げて反論する。
「よ、悦んでなんかないっ」
「嘘だね。僕に隠し立てしたって無駄だよ。身体は正直だ」
 往なすように言うと、史弥はぐっと言葉を呑み込んだ。
 普段から史弥が気にしているところをつついて追い討ちをかける。
「ねえ、そんな細い身体でゴールなんか守れるの?」
 予想していたとおり、史弥はすぐにムキになった。
「守れるの、じゃなくて守ってるんだよっ。仕方ないだろ。どんなに食べても筋トレしても、筋肉がつきにくい体質なんだから。それでも俺は鉄壁といわれてるんだ」
 僕はくすりと笑った。
「そのわりには僕の前ではずいぶんガードが緩いじゃない」
「だってそれは……」
「それは?」
 史弥は顔を真っ赤にした。
「あんたのせいだ」
 僕はわざと意外そうに驚いて見せた。
「え、僕のせい? 僕が悪いの?」
「そうだよ、全部あんたのせいだ」
 もちろん僕のせいだ。万が一にもほかの男のせいだと言ったならば、僕は史弥になにをするかわからない。
 けれどそんなことはおくびにも出さず、勢いづく史弥に意地悪をしてやる。
「だったら、どうしてこうやって僕のところに来るの? 僕だって仕事で疲れて帰ってきてるんだ。僕の都合も聞かないで、勝手なのはきみのほうじゃない?」
「…………」
 反論することもできず、史弥は押し黙ってしまった。
「ほら、きみはすぐそうやって黙っちゃう。いつも僕が答えをくれるのを待ってるだけなんだ。たまには自分から動いたらどうだい?」
「え?」
 意味がわからないのか、史弥は怪訝そうな顔で僕を見返してきた。僕は言葉を噛み砕いて伝えてやる。
「今日はどうしてここに来たの? 僕にどうしてほしいの? 自分の口で言ってごらん」
「そんなこと……」
 史弥の視線が泳ぐ。
「言えない? それじゃあ、きみがどうしてほしいのか僕にはわからないよ」
「今日の弘田さん……なんだか意地悪だ」
 その拗ねた顔が堪らなくかわいい。もっといじめてやりたくなる。
「心外だな。僕ほどやさしい男はいないだろう? ほら、きみの言うとおりにしてあげるから、僕にどうしてほしいのか言ってごらん」
「…………」
 本格的に臍を曲げたのか、史弥は貝のように口を閉ざしてしまった。けれど、僕はそう簡単には許してやらない。
「わかった。言えないなら僕は一切手を出さないよ。そのかわり、きみが自分でやって見せて」
 史弥が不安げに視線を泳がせる。
「な、なにを?」
「なにって、きみがいつもひとりでしてることだよ」
 やっと赤みが引いてきた頬が、再び赤く染まる。
「やだよ、そんなの」
「だって僕には言えないんでしょう? だったら自分でしてるとこ見せてよ。いつもひとりでしてるみたいに。そうしたら僕もその気になるかもしれないよ」
「そんな……」
「ほら、そこのソファでいいから、下を脱いで。あ、ひとりでするときは全部は脱がないのかな? でも今は脱いで。僕にちゃんと見えるようにね」
 史弥は小さな子どもがいやいやをするように首を振った。
「いまさら恥ずかしがることはないだろう? 今まで散々口では言えないような恥ずかしいことをしてきたんだから。それとも、そうやって僕をじらしてるの?」
 さらに首を振って否定する。
「本当はもう待ちきれないんでしょう? 自分で触りたくて堪らないんでしょう? きみは見かけによらず好きだからね。我慢しなくていいんだよ」
 史弥がきれいな瞳を潤ませて、救いを求めるように僕を見つめる。その瞳がさらに僕の嗜虐心を刺激する。
「さあ、自分でいじって、かわいく僕を誘ってごらん。そうしたら、いっぱいかわいがってあげるよ」
 すでに史弥の呼吸が上がってきているのがわかる。
「僕の機嫌を損ねる前に……」
 心臓の音まで聞こえてきそうだ。
「ね、キャプテン」
 史弥の目から羞恥のしずくが零れた。
 観念した彼の手がためらいながらも下半身へ伸びていくのを、僕はこの上ない愉悦の中で見守った。
 


 
 
END





目次へ





すいません。本日は「B.D」の更新はありません…。
でも、せっかく覗きにきていただいた方に空振りで帰っていただくのは申し訳ないので、
久々に単発のSSをアップします。
といっても、だいぶ前によそで書いたものをちょこっと手直ししただけですが…。
たしかテーマがSMで、私は言葉攻めが好きなのよ~ということで書いたんだと記憶してます。
私の中では比較的がんばったほうではないかと~。
この続きは各自でお好きなように妄想してください!(逃) by 寸止め番長(←

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【8/12】
誠に勝手ながら当ブログを
活動休止とさせていただきます。

【5/16】
すいません。
現在、潜伏中です。

【5/7】
突然ですが模様替えをしました。
慣れないうちはなにかとご不便を
おかけするかもしれませんが、
何卒ご容赦くださいませ。

【4/23】
「お久しぶりです」の方も
「はじめまして」の方も
こんな隅っこブログにお越しいただき
どうもありがとうございます。
ご挨拶が遅れてすみません…。
ぼちぼち更新してまいりますので
これからもよろしくお願いいたします。


【1/3】
あけましておめでとうございます。
昨年中はこんなぐだぐだなサイトを
見捨てずに応援してくださり
本当にありがとうございました。
今年もお付き合いいただけると
うれしいです♪
どうぞよろしくお願いいたします。


【11/3】
長らく放置してすいません><
こんな状況でも訪問してくださる方
本当にどうもありがとうございます!
ひとことでも感想などいただけると
朔田が泣いてよろこびます~。


【6/14】
ご無沙汰してます。本文の文字を
ちょっぴり大きくしてみました。
少しは読みやすくなったかな?


【4/21】
現在、ちょーゆるゆる更新中です。
忘れた頃になにかがアップされてる
…かも……?


【1/19】
「浅葱色の少年」は完結しました。
応援してくださったみなさま、
どうもありがとうございました!


【1/15】
新作「浅葱色の少年」を更新中です。
かすかにBLが薫るお伽噺みたいな?
楽しんでいただければ幸いです♪


【1/15】
趣味でやっていた〈ひとり光画部〉は
閉鎖しました。ご愛顧ありがとうござ
いました。


【1/15】
「石榴館」はすてき絵師・東風さんと
一緒に遊んでる吸血鬼シリーズです。
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管理人:朔田圭子(さくた けいこ)

さくたはめがねがだいすきだよ。それからかえるとかすなふきんとかみどりいろのものがすきみたい。 めーるふぉーむだよ♪ さくたがなんかゆってるww
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